次世代育成対策特別委員会中間報告書
1 調査経過の概要
本委員会は、平成17年7月1日に設置されて以来、4回にわたり委員会を開催し、付託された事件に関する諸問題について関係当局から詳細な説明を聴取するとともに、企業における次世代育成支援対策について有識者から意見聴取を行ったほか、秋田県における子育て支援施策や不登校児童生徒等への支援に係る取り組みについて現地調査を行うなど、次の事項について、鋭意調査に努めてきたところである。
(調査事項)
(1)子育て環境対策
(2)子どもの健全育成対策
(3)子どもの自立支援対策
調査の過程において、少子化の進行に歯止めがかからない中、子育てに夢を持ち、次代を担う子どもたちを健やかに生み育てられるようにすることが、ますます重要になっており、子育て環境の整備は、社会全体で緊急に取り組むべき課題であること。
また、少子化・核家族化などを背景に、家庭。地域の教育力の低下が指摘される中、地域の子どもを守り育てるためには、家庭・地域`学校が一体となり、青少年の健全育成や社会規範意識の醸成のための取り組みが必要であること。
さらに、子どもは次代の親になるものとの認識のもとに、豊かな人間性を形成し、経済的にも自立して家庭を持っことができるよう、青少年の自立支援の取り組みを進めることが必要であることなどについて活発な議論が展開されたところである。
なお、引き続き、諸般の課題について調査を行うものとするが、当面、次の課題について積極的な対応を要請するものである。
2 当面講ずべき課題
(1) 子育て環境対策
ア 総合的な次世代育成支援対策の推進
急速な少子化の進行に歯止めをかけるため、国及び地方公共団体はもとより、地域社会全体による一層の次世代育成支援対策が求められている。広域自治体である県としても、地域の実情を踏まえた実効性のある取り組みが必要である。
特に、企業による仕事と子育ての両立できる環境づくりや次世代育成支援に関する地域貢献の取り組みの促進を図ることが必要であること。
イ 安心して子どもを生み育てられる環境づくり
産科・小児科の厳しい勤務実態や平成16年度から始まった新たな臨床研修制度の影響などにより、産科医・小児科医の減少が問題となっており、特に中山間地域での産科医不足は深刻な状況である。
県内のどの地域においても、安心して子どもを生み育てられるよう、産科の医療体制の確保対策について、国、中国地方各県、市町及び広島大学とも十分連携を図り、積極的な取り組みを推進すること。
ウ 児童虐待防止対策の充実
行政を初めとした関係機関の努力にもかかわらず、悲惨な児童虐待事件が後を絶たない。児童虐待は、子どもの心身の発達及び人格の形成に重大な影響を与えるとともに、虐待を経験した者が親になったときに虐待を再現してしまうという世代間連鎖を引き起こすと言われている。
虐待を防止し、すべての児童の健全な心身の成長を促していくために、市町における関係者のネットワーク組織の設置促進や住民に最も身近な市町担当職員等の資質向上に関する支援など、児童虐待に対する相談支援体制の充実に努めること。
(2) 子どもの健全育成対策
ア 住民参加型の子どもの安全を守る取り組みの充実・定着
昨年11月の広島市安芸区の女児殺害事件を初めとして、子どもが被害者となる凶悪犯罪が全国的にも多発している中、県では、減らそう犯罪県民総ぐるみ運動に取り組むとともに、知事部局、教育委員会、警察本部から成るr子どもの犯罪被害防止対策プロジェクトチーム」を組織し、子どもの安全な環境づくりを推進しており、「地域安全マップ」づくりに公立小中学校の9割以上が取り組むなど、地域全体で子どもを見守る運動は広がりを見せている。
こうした痛ましい事件を発生させないため、今後とも、家庭・地域・学校が連携した子どもの安全を守る活動をさらに拡大・充実するとともに、地域の自主的な活動の維持・継続には多くの努力を要することを踏まえて、県内の各地域に定着するよう努めること。
イ 不登校児童生徒の支援体制の充実
本県の不登校児童生徒の割合は、減少傾向にあるものの、依然として全国平均を上回っている状況である。義務教育の段階から学校生活を通して、基礎学力、社会性等を学ぶことができなかった場合、将来、社会人として自立することが困難となることも予想されることから、ネクールカウンセラーの活用や、家庭、壇械スクーリング・サポート・センター、その他関係機関と連携した学校復帰の支援を行うとともに、不登校児童生徒の学習に関する支援が必要であること。
ウ 家庭・地域の教育力向上と社会規範意識の醸成
少子化・核家族化、社会の成熟化の進展とともに家庭・地域の教育力が低下し、子どもたちの社会性の低下や規範意識の希薄化などが懸念されている。
心身ともに健やかな子どもの育成を図るため、家庭・地域における教育を支援する取り組みの充実及び学校における体系的な道徳教育による子どもの社会規範意識の醸成が必要であること。
キャリア教育と若年者の就業支援対策の充実職業観の多様化や企業の即戦力志向を反映して、フリーターや二一トの問題が顕在化しており、若者の早期離職率の高さも間題となっている。
さらに、中学校卒業後の進路未決定者に対する支援の充実も課題となっている。
こうした若者が経済的に自立することが困難な状況は、結婚や子どもを持つことをためらう原因ともなっており、少子化の進行にも影響を与えている。
子どもたちが働くことの意義や職業についての理解を深め、社会人として自立していくためのキャリア教育のさらなる充実とともに、若年者の職業的自立戸向けた職業訓練及び就業に関する相談・支援体制の充実が必要であること。
平成18年6月22日
広島県議会議長 新田篤美殿
次世代育成対策特別委員会
委員長 日下美香