2006年8月6日 公明新聞 紙上座談会
議員、党員座談会/ヒロシマから平和の心を未来へ/「8・6」被爆から61年/「痛み」分かる世界市民育む
「ヒロシマの心」――。それは、人類史上初の原爆投下で地獄の惨禍を体験しながらも、悲しみや憎しみを乗り越えて復興し、「他の誰にもこんな経験をさせてはならない」と誓った広島市民の思いであり、核廃絶、世界恒久平和の実現に向けた願いだ。きょう8月6日は61回目の「広島原爆の日」。被爆者の高齢化で“語り部”が減少し、被爆体験の風化が懸念されている中で、「ヒロシマの心」を未来へどう伝えていくか、公明党広島県本部の広島市在住の議員、党員らの代表に語り合ってもらった。出席者は、同県本部「HIROSHIMA平和創出委員会」の栗原俊二委員長(県議)と、それぞれ被爆二世の田川寿一、日下美香の両県議と星谷鉄正・広島市議、党員・支持者から杉田やよいさん、小迫春美さん、植田恵子さん、冨川佳恵さん。
栗原県議 被爆後61年を迎えた今、残念ながら被爆体験の風化や平和意識の希薄化が進んでいると感じます。事実、平和記念資料館の年間来館者数はピーク時の7割を切り、原爆投下の年月日を知らない子どもも増えている。私は強い危機感を持って叫び続ける以外ないと決意しています。
日下県議 平和とは、「忘却との戦い」でもあります。原爆の熱線で影だけ残して消えた人、死んだ赤ちゃんに気づかず背負って逃げ惑う母親――。父から聞いた、耳を覆いたくなるような「8月6日」の惨劇を、人類に対する“警告”として語り継いでいく。それが、被爆二世である私の使命と思っています。
杉田さん 私も母が被爆者です。母は原爆で自分の母と妹を失い、弟も行方不明のまま……。そんな辛い記憶を語らせるのが気の毒で、ずっと被爆体験を聞くのを躊躇してきましたが、先日、母から具体的に話を聞き、「8月6日」への思いを新たにしました。
冨川さん 私は広島でなく島根県の出身なんですが、父方・母方とも自分の祖父を見たことがなく、私の母も自分の父を知りません。戦死したんです。私の反戦・平和への思いは、「おじいちゃんが生きていたら……」と話す母の心に触れて育まれたと思います。今また私も、読み聞かせなどを通じて、平和への思いを子どもに伝えるようにしています。
田川県議 平和の心の継承も、家庭での平和教育が出発点です。今のお話のように親から子へ、子から孫へ、きちんと語り継がれていくことが大事だと痛感しています。
私は「原爆は、広島に落とされたのではなく、人類の頭上に落とされたのだ」ととらえる必要があると考えています。拡散する核兵器の脅威にさらされているのは、ほかならぬ全人類だからです。ヒロシマの痛みを一人ひとりが感じ、考え、行動しなければいけません。
栗原 同感です。弱い立場にある人に尽くしていく心、ともに同苦する心、そして、人の痛みが分かる心こそ「ヒロシマの心」の土台です。それは公明党議員の基本姿勢そのものとも言えるだけに「徹して弱者を守りぬく公明議員に」と自らに言い聞かせています。
植田さん 今、小学校でPTAの役員をしているんですが、最近、人の痛みの分からない子が増えているということが話題になります。大人から「自分がされたらどう思う?」と注意されるまで相手の気持ちを察することができない。そのためにも、各家庭で平和の心を育むことがとても大切だと感じています。
冨川 そうですね。周囲の人や友達を大事にするなど、小さなことから平和の心は培われてくるのだと思います。
『苦難克服するのもヒロシマの心』
星谷市議 それから、広島市は原爆による地獄の惨禍を体験しながらも、中国・四国地方の中枢都市として見事に復興を遂げました。その意味で「苦しみに打ち勝ち、困難を乗り越えていく心」もまた、ヒロシマの心といえます。地球時代を迎え、世界市民を育む取り組みの中で、そうした心を持つ子どもたちを育成していきたいですね。
小迫さん 私は、小学校で読み聞かせ活動をしているんですが、小学6年生にもなると『まっ黒なおべんとう』『伸ちゃんのさんりんしゃ』などの被爆の話には「また始まった」「聞き飽きた」という子もいます。でも、北朝鮮のミサイル発射問題なんかには「日本は、やられたらやり返すんかね」なんて強い関心を示す子もいます。すぐに「そういう気持ちから戦争が始まるんよ」と言いましたが……。
杉田 そうした疑問が投げかけられた時こそ、大人が、きちんと話してあげる必要があるんでしょうね。
植田 子どもの心に平和の意識を根付かせられるかは、親の意識にかかっていると感じます。
小迫 詩人の谷川俊太郎さんの一文に、「理由もなく戦争しようと考える人はいないと思うが、正しい理由があれば戦争してもいいと考えている人は多い。(中略)まず自分の心の中で戦争をなくすことだ(趣意)」――と。こんな言葉には、ほとんどの子が真剣に耳を傾けてくれます。
栗原 一人ひとりの心の中に“平和の砦”を築くことが一番大事だということですね。そして、その重要性を生命の尊厳の立場から一貫して主張してきたのが公明党です。今後も公明党らしく、ヒロシマらしく、堂々と訴えていきたいですね。
『歴史の事実から教訓学ぶ教育を』
日下 子どもたちには成長の段階に合った「伝え方」が大事になってきていると感じます。幼児の場合なら、原爆の衝撃的映像は避け、読み聞かせを通して生命の尊さや人に優しくすることの大切さを教えるなど、工夫が必要ですね。
田川 そして、小学校の高学年や中学・高校生になったら、歴史の事実をしっかり学ばせてあげたい。「過去に目を閉ざす者は現在においても盲目になる」との有名な警句もありますから。
星谷 私は広島市議の立場から、原爆ドームをはじめとする平和記念施設と平和記念公園、平和大通りの一部の保存にもしっかり取り組んでいきます。また、被爆建物や被爆樹木の保存、国内外から年間1000万羽も寄せられる折り鶴の保存・活用も大切です。さらには、新たな資料収集や被爆者証言ビデオの普及、国外での原爆写真展や平和講師の派遣など、被爆二世としての使命を果たしていきたいと決意しています。
栗原 最近の国際情勢をみても、広島の使命と役割は大きい。これまでに倍する行動で、未来へ、世界へ、「ヒロシマの心」を叫び続けていきましょう。
『世界の恒久平和へ』世界遺産の原爆ドーム前で、世界恒久平和への「ヒロシマの心」を語り合う党広島県本部の(右から)星谷・広島市議、日下、田川、栗原の各県議と、冨川さん、植田さん、杉田さん、小迫さん
『田川/人類の頭上に落ちた原爆』
『栗原/弱者を守り抜く政治貫く』
『党員/「読み聞かせ」などによる家庭での平和教育が大切』
『日下/成長に応じた「伝え方」を』
『星谷/平和施設の保存にも全力』