2017年9月21日       

平成29年9月定例会 一般質問

1 男女共同参画社会の推進について
(1)男女共同参画社会を実現するに当たっての決意について
(2)広島県女性総合センターの今後について

2 子供の生活実態調査を踏まえた今後の政策への決意について

3 発達障がいに係る医療支援体制について

4 高等特別支援学校の早期建設について

5 高等学校奨学金の運用改善等について





【はじめに】
 みなさん、こんにちは。
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 さて、この9月定例会の冒頭、知事は、主要施策の取り組み状況の説明において、一番目の項目として「成育環境の違いにかかわらず、全ての子どもが健やかに夢を育むことのできる社会づくり」を取り上げ、子どもの貧困対策の取り組みなどについて、ご説明をされました。
 私はかねてより、この取り組みは真っ先に取り組むべき課題だと思っておりましたので、やっと本県も軸足が少し動きはじめたのかなと感じているところです。
 また、知事は、幼児教育から大学改革を含め「人づくり」ということに、本格的に取り組もうとされているところでありますが、一方で、昨日、ご説明のありました平成28年度の「ひろしま未来チャレンジビジョン実施状況報告書」によると、「人づくり」分野の進捗率は、各分野の中で最も低くなっておりました。
 人口が長期的に減少していくという社会状況の中で、「人づくり」は大変重要な分野であり、特に次世代育成と多様な人材の活躍は重点的に取り組むべき課題であると思っております。
 ただそれは、経済成長ばかりに目が向く「人づくり」ではなく、個々の幸せのために能力や資質を後押ししていく、「すべての人がスタートラインに立てる社会を作る」、その下支えをしていく、という視点を、もっと分かりやすく示すべきではないかと思っております。
 本日は、このような視点に基づいて質問をさせていただきたいと考えておりますので、知事をはじめ、執行部の皆様方には、スカッと胸がすくような、明快で前向きな答弁を期待し、早速質問に入ります。




1 男女共同参画社会の推進について
(1)男女共同参画社会を実現するに当たっての決意について


【質問】
 今月の8日と9日に、県が主催して「働き方改革と女性の活躍」をテーマとしたフォーラムが開催されました。
 これからの時代に求められる新しい生き方、働き方につきまして、担当大臣をはじめ経営者の方々から様々な示唆に富んだお話がございました。
 私も参加させていただき感じたことは、男女双方の「意識改革」と女性の活躍の「見える化」が大切であるということです。
 フォーラムの成果として、このイベントの共同宣言で、「この広島の地から女性をはじめとする多様な人材が活躍できる社会をつくっていくこと、そして、そのムーブメントを全国に発信、拡大していくこと」を宣言して締めくくられ、私も大いに共感をいたしました。
 まずは「隗より始めよ」という言葉もございます。女性の副知事や局長、部長など管理職の登用につきましては、もっと積極的にスピード感をもって取り組むべきではないかと考えております。
 このフォーラムの共同宣言が、かけ声倒れになりませんよう、知事はその先頭に立ち、リーダーシップを発揮していただきたいと思っております。
 さて、男女共同参画社会基本法の「性別にかかわりなく社会のあらゆる分野にともに参画し、能力を発揮できる社会」とは、男女がともに、自己実現しながら豊かな人生を生きていくということであり、仕事と暮らしどちらも可能にする、まさに知事の言う、「欲張りなライフスタイル」そのものではないかと思います。
 言い換えれば、「自分の幸せをあきらめない」という社会の実現であり、そのためには、男女共同参画をすべての政策のベースに据えて進めることが大切ではないかと思うのであります。
 広島県の男女共同参画に関する年次報告によりますと、高等学校進学率、大学進学率ともに女性が男性よりも高く、この傾向は全国も同様であります。
 一方で、平均勤続年数を見ますと、女性の方が短く、給与総額においても、女性が圧倒的に少ない現状があります。
 女性が男性以上に教育を受けながら、社会においては、その能力を労働対価として受け取っていないということであります。
これはとても、もったいないことだと思います。
 私自身も、11年間専業主婦でしたので、もとより、専業主婦を否定するものではありません。
 しかし、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考え方に賛成する男性が、本県では全国より多いという実態もあります。
 様々な選択の自由があるとはいえ、「社会全体における男女の地位」が平等であると感じる人の割合はとても低く、基本法制定から20年近くたった今でもほとんど変わっていないという事実は、少子化という時代の流れをより加速させていると言えます。
 近年、先進国では、女性の労働力率が高いほど、合計特殊出生率が高い傾向にあるということが確認されておりますが、このことは、雇用の不安定化・流動化が進む今日において、出産、育児に関わらず、女性が働き続けられる条件を整えなければ、結婚や出産、子育てに前向きに踏み出していくことが困難であることを示しております。
 このためにも、男性の家事、育児、介護の分担を可能にするような働き方改革が喫緊の課題であることは言うまでもありません。
 男女共同参画の実現はまだまだ道半ばであり、様々な政策分野において、男女が共に考え、実践していくことが大切であるとの思いを強く持っております。
 つきましては、男女共同参画社会を真に実現するに当たっての、知事のご決意をお伺いいたします。


【知事答弁】
 人口減少や少子高齢化の進展など、急速に変化する現在の社会環境の中で、豊かで活力ある地域社会を築いていくためには、男女が性別にかかわりなく、社会のあらゆる分野に、ともに参画し、その能力を十分に発揮することができる、男女共同参画の視点が大変重要であると認識しております。
 このため、第4次広島県男女共同参画基本計画におきましては、子育てしやすい環境づくりや働き方改革のみならず様々な政策分野において、目標値を設定し、男女共同参画の推進に取り組んでいるところでございます。
 こうした取組等により、本県の合計特殊出生率は、全国平均を上回って推移しており、審議会等委員のうち女性委員の占める割合が上昇するなど、着実な前進が見られる一方、「男性は仕事、女性は家庭」に象徴される固定的役割分担意識はいまだ払拭されておらず、県政世論調査においても、男女の地位の不平等感が様々な分野で表れているなど、男女共同参画は、まだ道半ばであり、更なる取組が必要であると考えております。
 今後は、本県の男女共同参画推進の視点である、
・ 職場における女性の活躍促進などの環境づくり、
・ 男女共同参画を推進する研修などの人づくり、
・ 生涯を通じた健康対策などの安心づくり
を中心に、様々な施策を積極的に推進することとしており、その一環として開催いたしましたWIT(ウイット)2017(にせんじゅうなな)におきましては、固定観念や慣習に捉われることなく、新たな価値を生み出すための実践方策や環境づくりについて、多くの参加者とともにアピールを行ったところであります。
 こうした取組の積み重ねにより、全ての男女が夢や希望をあきらめることなく「仕事も暮らしも。欲張りなライフスタイル」を実現できるよう、私が先頭に立って推進してまいります。




(2)広島県女性総合センターの今後について

【質問】
 次に男女共同参画社会の実現に向けた施策の中枢を担う「広島県女性総合センター」、通称「エソール広島」についてお伺いします。
 現在の「エソール広島」は昭和23年、戦後の焼け野原の中、女性たちが広島を元気にしていこうと、平和・復興のシンボルとして、婦人活動の拠点整備を県に要望したことがはじまりでありました。
 それから3年のち、広島県婦人連合会の皆様が募金を集め、県も負担して、昭和26年、「広島県婦人会館」がオープンいたしました。
 この婦人会館がエソールの前身となります。
 当時、土地建物は県から無償提供を受け、運営は広島県婦人連合会が任されていました。
 それから30数年の時が経ち、県下44の女性団体からなる「広島県の婦人の地位向上と社会参加をすすめる会」が発足し、婦人会館の老朽化に伴う建替要望 活動をしていた広島県地域婦人団体連絡協議会とともに、知事に「婦人総合センター」の建設を正式に要望されたことを受けまして、昭和60年度に現在のエソール広島の概要が取りまとめられました。
 そして、昭和63年に、県と社会参加をすすめる会、婦人団体連絡協議会の3者が出資して「財団法人広島県女性会議」が発足し、翌、平成元年に、かつての婦人会館跡地にエソール広島が建設されました。
 エソール広島誕生の経緯をご紹介させていただきましたが、平和・復興のシンボルを求めて活動してこられた女性たちが、この広島にたくさんおられたことを誇りに思いますと同時に、これまで女性が活躍をする、その礎を築いて下さい
ました皆様に心より敬意を表したいと思います。
 さて、エソール広島は、本県の男女共同参画社会づくりの拠点として大いに貢献してきましたが、現在も、情報発信、人材育成、ネットワークの構築、相談支援などに積極的に取り組んでいるところであります。
 その誕生から30年を迎え、施設の老朽化が進む一方で、時代の動向を先取りし、LGBTに係る相談窓口を新たに10月から開設するなど、ますますその役割は大きくなっていると実感をしております。
 エソール広島に隣接する広島東警察署、薬剤師会館、元 歯科医師会館が遊休地となる予定であることなどから、エソール広島を含めた周辺一帯の活用を検討するため、関係者との調整を行う意向であるとお聞きしておりました。
 ところが、昨日の新聞報道によりますと、「『エソール』廃止」の大きな見出しが躍り、関係者の皆様は大きな衝撃を受けられたのではないでしょうか。
 私もびっくりいたしました。
 この新聞報道の通りであるとするならば、現在のような拠点性はどうなっていくのでしょうか。貸会議室などの事業収益を公益事業の財源の一部として運営する現在の仕組みは継続できるのかなど、様々な課題が想定されています。
 これからの30年に向けて、今の時代に求められる女性の活躍の拠点となるエソール広島の役割や機能について、知事はどのようにお考えなのか、また、一体開発にかかるエソール広島の今後について、どのようにされるおつもりなのか、お伺いいたします。


【知事答弁】
 広島県女性総合センター、通称エソール広島は、平成元年の開設以来、相談、研修、チャレンジ支援、情報、交流の5分野を活動の柱とし、女性大学をはじめとする人材育成や研修修了生を中心としたネットワークの構築、相談事業を通して把握した女性を取り巻く課題の解決、に取り組むなど、本県の女性活動の拠点として、多大な実績を上げてこられたと認識しております。
 しかしながら、今後30年を考えたとき、人口減少や少子高齢化の進展などにより、社会のあらゆる場面で女性の活躍が要請されるなど、女性を取り巻く暮らしや環境は、より一層、多様化・複雑化していくことが予想されます。
 こうした中で、県内全域の様々な状況におかれた女性たちが、それぞれの悩みや地域課題の解決、ネットワークづくり等を自立的に行えるよう、ICTなどの新たな仕組みを活用して、ニーズに応じたきめ細かな支援を行うなど、エソール広島の役割は、今後ますます重要になると認識しており、県といたしましても、今後一層の連携や支援が必要であると考えております。
 一方、現在のエソール広島の建物は、建設から約30年を経過し、バリアフリー化の遅れや老朽化などの課題も顕在化していること、隣接地においてにぎわいと交流を生み出す高次都市機能が検討されていること等からエソール広島を含めた一体的な開発を検討することとしたところでございます。
 エソール広島の移転につきましては、本県の女性活動の拠点という重要な役割を将来にわたって発揮していくという観点から、必要となる機能や立地について検討することとしており、廃止というようなことはありえないと考えております。
 こうした認識を踏まえ、今後の、エソール広島との調整につきましては、本県の女性活動の拠点としての機能が損なわれることのないよう、また、今後求められる機能が十分に発揮できるよう、慎重に検討する必要があると考えており、収益事業と公益事業をあわせ持つ現在の仕組みを変更する必要が生じた場合は、そのことによって、運営に支障をきたす事のないよう、エソール広島や関係者の皆様の御意見等をよく聞きながら、調整を進めてまいりたいと考えております。




2 子供の生活実態調査を踏まえた今後の政策への決意について

【質問】
 質問の第2は、子供の生活実態調査を受けた今後の政策に対する知事の決意についてお伺いいたします。
 この夏、本県では「子供の生活実態調査」として、大掛かりな調査を行いました。
 実際に協力をされた保護者からは、とても時間がかかったけれど、今後の県の取り組みに期待したい、とのお話しを頂きました。
 また、子どもや保護者の調査だけではなく、児童養護施設等の退所者や支援機関等にも調査を行うなど、県独自の視点でさまざまな対象から実態を把握しようと取り組んでおられることを高く評価しております。
 私は、この調査は一過性で終わらせず、保護者への負担軽減に配慮するなど工夫しながら継続して行っていくべきだと思います。
 調査結果の推移などを分析し、新たな取り組みに反映していく中で、よりニーズに合うものになってくると思います。
 平成28年に児童福祉法が改正されましたが、このたびの改正で一番注目すべきことは、子どもが権利の主体であると、明確になったことであります。
 子どもの最善の利益を第一に考えていくこと、子どもの生まれた環境にかかわらず、全ての子どもの幸福を一番に考えていこうという大人が増えていくことを期待したいと思います。
 さて、先月、ひろしまこども夢財団が主催する「広がれ、こども食堂の輪!全国ツアーin広島」に参加してお話を聞いてきました。
 今年6月、厚生労働省が公表した平成27年の子どもの相対的貧困率は13.9%で、ひとり親家庭においては50.8%と、前回公表の平成24年データと比べて若干低下していますが、これは、いろいろな政策を講じれば子どもの貧困率は下げることができるという証明であると思います。
 しかし、いまだ貧困率が高い状態であることには変わりはなく、特に乳幼児の貧困率の高さが、日本の子どもの貧困の特徴のひとつであると指摘されていました。
 また、ノーベル経済学賞の受賞者であるジェームズ・ヘックマン氏の「恵まれない境遇にある就学前の子どもたちに対する投資は、公平性や社会正義を改善すると同時に、経済的な効率性も高める非常にまれな公共政策である」という一文を引用され、特に12歳より前の子どもへの人的投資は効果が高い、というお話をされており、強く共感したところです。
 本年8月、厚生労働省の設置した有識者による検討会がとりまとめた「新しい社会的養育ビジョン」の中で、里親への委託率を75%に引き上げるという大胆な目標を打ち出しました。
 また、未婚の親の元に生まれた子どもにも保育料の減免を行う、との新聞報道もあり、子ども自身の未来を社会全体で応援しようという流れが加速度を増してきていると実感しております。
 ある専門家は、「社会全体が貧しかった時代と異なり、豊かになった現代では点在する貧困層がより格差を実感させられる。
現代の子どもの貧困問題は、貧しい家庭の子を救うという発想ではなく、あらゆる子どもに学ぶ権利や生きる権利を保障する取り組みだと理解すべきである」と指摘しています。
 夢や希望をもちにくい環境に置かれた子どもたち、そして、最も大人の支えが必要な子どもたちにこそ、行政は真摯に向き合っていくべきではないかと強く思います。 
 そこで、このたびの、「子供の生活実態調査」の結果を受けて、子どもたちの未来を応援するための取り組みに、知事がどのような思いで向き合おうとしているのか、決意をお伺いします。


【知事答弁】
 次世代を担う全ての子供たちが、健やかに育ち、夢や希望、意欲にあふれ自立した人間へと成長することは、県民全ての願いであり、子供の将来が、生まれ育った環境によって左右されることがないよう、また、貧困が世代を超えて連鎖することのないよう、子供の貧困対策に取り組むことは、極めて重要であると考えております。
 このため、本年度、市町と連携して県内全域の児童生徒とその保護者などを対象に、「子供の生活に関する実態調査」を実施し、対策の前提となる子供の生活状況や意識などを把握するとともに、全ての子供の能力と可能性を最大限高められるよう、学びのセーフティネット構築に向けた検討も行っているところでございます。
 子供の貧困対策につきましては、貧困が子供の生活や成長に大きな影響を及ぼすことから、子供の成育環境の整備や保育・教育内容の充実など幅広く対策を講じる必要があり、今後、調査の詳細な分析を行い、その結果を踏まえまして、実効性のある対策につなげてまいりたいと考えております。
 県といたしましては、本県の将来を担う大切な「子供」に何よりも視点を置き、子供たちの未来を、しっかりと応援する政策の推進に、私が先頭に立って、全力で取り組んでまいります。




3 発達障がいに係る医療支援体制について

【質問】
 質問の第3は発達障がいに係る医療支援体制についてお伺いします。
 発達障がいの子どもを育てられている方に伺うと、早期に確定診断を受け、その障害特性を把握し、必要な医療や福祉のサービスを受ける中で子育ての不安が少しずつ解消された、といった声を耳にします。
 発達障がいの課題を抱えている方が、身近な地域で適切な医療を受けるためには、発達障がいの診療ができる医師を確保するとともに、県内各地域において中核的な役割を担う専門医を養成していく必要があると考えています。
 本県では、初診までに最大6か月以上の待機期間が生じている専門医療機関もあると聞いております。
 ご本人やその家族にとって、診断を受けるまでの不安や悩みは大きく、早期に診断を受け、必要とする医療や福祉につなげ、適応障害、うつ、ひきこもりなどの二次障害を防止していく必要があると思います。
 こうしたことから、本県では、東広島市のわかば療育園や福山若草園の発達外来において、専門医による臨床研修が実施されるなど医師の育成も図ってきましたが、患者の増加もあり待機期間の短縮は実現できていないのが実態です。
 特定の医療機関への患者の集中を緩和し、受診待機期間を短縮していくためには、地域の小児科などのかかりつけ医において初診対応を行い、発達障がいが疑われる場合は専門医がいる医療機関に紹介したのち、地域の中核的な医療機関が対応するといった、各地域における医療機関の機能分化とネットワーク体制を構築することが必要です。
 また、認知症のオレンジドクターのように、県民の皆様に、どこの病院が見てくれるのか「見える化」していくことも大切です。
 本県においては、これまで発達障がいについては、政策医療の分野として十分取り組めていないのではないかと受け止めており、医療支援体制の整備は、喫緊の課題であると考えています。
 取り組みを拡充するには、広島県医師会等との協力も必要になると考えますが、県として医師養成に関するこれまでの取り組みと課題をどのように認識されているのか、また、今後、県として、発達障がいに係る医療支援体制をどのように構築されていくお考えなのか、知事にお伺いします。


【知事答弁】
 発達に課題があるご本人や、ご家族の不安や悩みを軽減し、適切な治療につなげていくためには、身近な地域で早期に発達障害を診断し、必要な医療を受けることができる医療支援体制が確立されていることが必要でございます。
 このため、県におきましては、医師確保のため、これまで「わかば療育園」等での臨床研修や国の専門研修機関への派遣研修により、22名の専門医を養成するとともに、県医師会と連携し、初診対応を行うことができるかかりつけ医を
139名養成するなどの取組を進めてまいりました。
 しかしながら、確定診断できる専門医や適切な初診対応ができる、かかりつけ医はいまだ不足状態にあるとともに、地域的にも偏在しており、また、医療機関相互の連携が十分とれていないため、依然として、特定の専門医療機関に患者が集中し、初診までに長期の待機期間が生じているといった課題がございます。
 このため、今年度、広島県地域保健対策協議会におきまして、関係医療機関に対する発達障害の診療実態アンケート調査を実施し、各医療機関の医療機能を踏まえた、役割分担と連携方策について、協議を行っているところでございます。
 今後、この協議会における検討結果を踏まえまして、継続的な医師の養成を図るとともに、各医療機関の医療機能を明確化し、地域の拠点となる専門医療機関と他の医療機関との連携を進めることにより、初診待機の短縮や早期把握・早期支援につながるよう医療支援体制の充実に努めてまいりたいと考えております。




4 高等特別支援学校の早期建設について

【質問】
 質問の第4は、高等特別支援学校についてお伺いします。
 平成20年7月に教育委員会では、専門性に基づく質の高い特別支援教育の実現を目指して、広島県特別支援教育ビジョンを策定されました。
 このビジョンは、障害のある幼児児童生徒一人ひとりの自立や社会参加に向けた主体的な取り組みを支援するため、広島県における特別支援教育の理念や方針、取り組む内容などを総合的にまとめています。
 ビジョン策定から9年が経ち、現状はどうなっているのでしょうか。
 少子化が進む今日、本県では、中学校3年生の生徒数は、平成32年には平成元年のちょうど半分になるという見込みが示される一方で、特別支援学校に通う幼児児童生徒は、知的障害のある児童生徒が増加する中に、この14年間で約2倍になっている実態があります。
 こうした中、福山市、廿日市市、呉市の特別支援学校では、教室も不足している状態であります。
 今後、平成39年まで、生徒数が増え続けるという見込みもある中で、特別支援学校の教育環境の整備が進まないのはなぜでしょうか。
 特別支援学校高等部卒業者の就職率が、当時、全国平均よりもはるかに低い状態が何年も続いていることから、このビジョンによりますと、「知的障害のある生徒に対する職業教育の充実を図るため、通学の利便性や企業の立地状況等を考慮しつつ、高等特別支援学校の設置を検討します」と明記されています。
 高等特別支援学校とは、軽度の知的障害のある高等部の年齢の生徒を対象として、職業教育に重点をおいた指導が行われる学校でございます。
 10年前の平成19年に質問したおりには、中国地方には1校もなかったのですが、現在は岡山に2校、鳥取に1校設置され、全国でも27都道府県で86校が設置されるなど整備が進んできております。
 本県でも平成28年度の卒業者の就職率が38.4%となり、ビジョン策定時の14.8%と比べると、ずいぶん伸びてきましたが、高校生の就職率がほぼ100%となる中で、まだ10人中6人が就職できていないというのが実態です。
昨日の新聞報道では、来年の春に卒業する高校生の求人数は過去20年間で最高水準となっており、本県の求人倍率は2.66倍とのことで、企業における担い手不足は年々深刻になっております。
 その一方で、民間企業に義務付けられている障害者の法定雇用率の達成状況は、50%未満にとどまっているのが実態です。
 法定雇用率は、来年4月以降、現状の2%から、2.3%まで引き上げられる予定であり、今後、障害者雇用の拡大に向けた動きが加速していくこととなると思います。
 こうした状況にある今こそ、職業教育を中心とした教育課程を充実し、生徒一人ひとりの障害に応じた学びを支援することで、卒業後に地域で働くことができる環境を整備していく、そして社会に出ていける力が付くよう、真っ先に後押していくべきではないでしょうか。
 特別支援教育は、教育の原点であると思います。
 このビジョンに示されたように、通学の利便性や企業の立地状況などを考慮して高等特別支援学校を検討するとした場合、平成33年4月の移転が決定している広島県立西高等学校は、市内中心部で利便性もよく、まだ校舎も十分使用できることから、この跡地を高等特別支援学校として新たに誕生させていくことが、もっとも時宜にあっているのではないかと思います。
 これは、今後の広島県教育の重要な課題ではないかと思います。
 つきましては、ビジョンに示した高等特別支援学校の在り方について、県はどのように考えておられるのか、あわせて、増え続ける特別支援学校の生徒の学ぶ環境整備をどのように考えておられるのか教育長にお伺いします。


【教育長答弁】
 はじめに、高等特別支援学校の在り方についてでございます。
 高等特別支援学校につきましては、平成20年7月に策定いたしました「広島県特別支援教育ビジョン」におきまして、知的障害のある生徒に対する職業教育の充実を図るため、通学の利便性や企業の立地状況等を考慮しつつ、設置を検討することとしているところでございます。
 本県の特別支援学校高等部の職業コースにつきましては、就職率が90%を超えるなど一定の成果を上げ、生徒の就職先は拡大しておりますが、就労の内容を見てみますと、清掃や製造現場における補助的業務が多く、今後、雇用数を拡大するためには、より実践的で専門的な職業教育を行う高等特別支援学校を設置していく必要があると考えております。
 こうしたことから、高等特別支援学校の教育内容につきまして、専門学科を有する高等学校の教育内容を活用することなどの具体の検討に入っているところであり、教育委員会といたしましては、設置に向け、引き続き、検討を進めてまいります。
 次に、特別支援学校における生徒の学ぶ環境の整備についてでございます。
 特別支援学校の児童生徒数の急激な増加に対応するため、これまで、特別教室の普通教室への転用や校舎の増築など、適切な教室数を確保してきたところでございます。
 引き続き、平成39年頃までは特別支援学校に在籍する児童生徒数が増加することが見込まれますことから、教育委員会といたしましては、全国の取組事例も参考にしながら、長期的な視野に立った教室数の確保等に向けた具体的な対応策を検討することによりまして、児童生徒の適切な教育環境の整備に努めてまいります。




5 高等学校奨学金制度の運用改善等について

【質問】
 質問の第5は、高等学校の奨学金制度の運用改善等についてお伺いします。
 先日、OECDは加盟国の教育に関する調査結果を公表しましたが、教育機関への公的支出のGDPに占める割合は、データのある34か国中、日本が最下位でありました。
 従来より、日本の公的教育支出は諸外国に比べて低く、奨学金制度の充実が必要であるとの指摘があったところです。
 本県におきましても、高等学校における奨学金など、学費負担を軽減する制度がいくつかあります。
 具体的には、授業料を無償化する「高等学校等就学支援金」をはじめ、低所得世帯に対して授業料以外の教育費負担を軽減する奨学給付金、あるいは留学を希望する高校生に対する貸付制度などがあります。
 このほか、経済的理由で修学が困難な生徒に対する貸付を行う「広島県 高等学校等 奨学金」があります。
 これは、平成17年に旧日本育英会の事業が移管されたもので、平成26年度までの10年間で総額60億円余りの国庫財源を確保し、貸付を行っているものです。
 しかしながら、近年は新規の貸付が減少し、平成22年から28年までの6年間で、対象者2,467人から918人と半分以下となり、奨学金の財源は平成29年5月末時点で36億6千万円が使われずに残っています。
 なお、この奨学金の償還率は92%程度で推移しており、今後、過去の貸し付けの償還が進むことで、残高はさらに増えていくものと見込まれています。
 この奨学金を借りる高校生は減っているということですが、その要因は少子化による生徒数減少の影響だけでなく、制度が旧日本育英会奨学金分とその他の奨学金分で、成績や年収など資格要件が区分されるなど、申請者に分かりにくい仕組みとなっていることも影響しているのではないかと思います。
 今後、貸付要件を一本化する、あるいは、所得制限を緩和する、貸付額を増額する、返済猶予や減額、免除の対象を拡大する、広島県独自の給付型の奨学金を創設するなどの、様々な見直しも必要ではないかと考えています。
 また、奨学金を借りる高校生の立場からすると、奨学金は将来の不安解消のための資金ではなく、非正規雇用の増加など不安定な雇用環境の中で、返せないかもしれないと不安に思っているのではないでしょうか。
 社会に出る前に多額の「借金」を抱えることに尻込みしてしまう人も多いのではないかと考えています。
 子どもの貧困の問題など経済格差が大きくなっている中で、この制度そのものが今の高校生のニーズに合っていないのではないかと思うのです。
 東京都では高校や大学進学支援に関して、塾費用や受験料を無利子で貸し付け、合格すれば返済免除する「受験生チャレンジ支援 貸付事業」などを創設し、若い人たちの挑戦を後押ししています。
 この広島県高等学校等奨学金は条例により特別会計で取り扱っており、他の事業への転用は行っていませんが、36億円余りの使われていない財源を有する状況を踏まえ、家計負担の軽減に向けて、本当に大変な思いで教育費を工面されている方に届くように、見直していく必要があるのではないかと思います。
 「学びのセーフティネット」の構築もまさに議論されている最中でもありますし、奨学金制度のあり方について、この財源の活用なども含め、あらためて検討すべきではないかと考えますが、教育長のご所見をお伺いします。


【教育長答弁】
 広島県高等学校等奨学金制度につきましては、意欲ある生徒が経済的な理由により修学を断念することがないよう、修学上必要な学資金の一部を貸し付けるものとして創設された制度であり、この奨学金を継続的かつ安定的に運用していくためには、一定程度の財源留保額の確保が必要であると認識いたしております。
 一方で、奨学金の貸付者数は減少しており、この理由といたしましては、公立高等学校では、実質的に授業料が無償化となるなど保護者の教育費負担が軽減されていることのほか、貸付基準が複雑になっていることなどが考えられます。
 教育委員会といたしましては、引き続き制度の周知を徹底するとともに、「学びのセーフティネット」構築についての検討状況や他県の状況を踏まえ、貸付基準の見直しなど、より利用しやすい制度となるよう、財源の活用も含め、検討を行い、意欲ある全ての生徒が安心して修学できるよう取り組んでまいりたいと考えております。


【おわりに】
 最後に一言申し上げたいと思います。
 今後の核軍縮の進め方を議論する「賢人会議」の初会合が、今年十一月、広島市で開催されることが決まりました。
 7月には「核兵器禁止条約」が採択されましたが、核保有国と非核保有国の亀裂の橋渡しが求められており、唯一の被爆国である日本こそ、その要となっていくべきであります。
 広島での「賢人会議」の実効性のある提言とともに「真の橋渡し」のスタートとなることを期待しております。
 広島は世界中のどこよりも被爆者の皆様の気持ちに寄り添い、ヒロシマの痛みを世界に発信していくという、大きな使命があります。
 平和とは戦争がないこと、核兵器が使われないだけではなく、最も社会的に弱い立場の人に思いを寄せていく、その価値観が一人ひとりに根付いていくことが、真の平和への道につながると確信しております。
 平和の先頭を走る知事として、次世代を担う子どもたちの未来を誰よりも応援していただきたいということを要望して質問を終わります。