2018年12月10日       

平成30年12月定例会 一般質問

1 子どもの未来を応援する施策について
(1)子どもの未来を応援する施策の充実について
(2)「朝ごはん推進モデル事業」に対する教育委員会の果たすべき
役割について
(3)高等教育進学時における家庭の負担軽減について
(4)低出生体重児のための母子手帳について
(5)外国人児童生徒への支援について

2 社会的孤立を防ぐ取り組みの推進について

3 セクシャルハラスメントに対する認識と女性が安心して働ける環境
整備について

4 難病対策について
(1)難病医療の提供体制の充実に向けた取り組みについて
(2)難病患者の生活支援について
(3)災害時の難病患者への対応について(要望)




【はじめに】
 皆様こんにちは。
 公明党広島県議会議員団の日下美香でございます。
 7月の豪雨災害から、五ヶ月がたちました。
 被災された方々は、今なお、今後の生活再建に向けて、様々な不安の中、暮らしておられます。
 一日でも早く日常の生活を取り戻していただけるよう、知事をはじめ、執行部におかれては、最優先で取り組まれますよう、お願い致します。
 さて、本日、12月10日は、世界人権宣言が国連総会で採択をされた日であります。今年70年の節目を迎える世界人権宣言は、「女子差別撤廃条約」「児童の権利条約」「障害者権利条約」など、数々の条約の生みの親となり、「人間の安全保障」や「持続可能な開発」に代表される新たな人権理念の創出の基盤にもなりました。
 社会的に弱い立場にある人たちの人格や尊厳を守るということは、ひいては自分を含めた社会を守るということであり、それは全ての人の安心につながっていくと思います。




1 子どもの未来を応援する施策について
(1)子どもの未来を応援する施策の充実について


【質問】
 質問の第1は子どもの未来を応援する施策について、5点お伺いいたします。1点目は子どもの未来を応援する施策の充実についてです。
湯ア知事は就任以来、「人づくり」をベースとした4つの政策分野の好循環を作り出すことによって、本県の目指す姿を実現されようとしています。
 その4つの政策分野の中でも「人づくり」の分野での人材育成に関しては、「成育環境の違いにかかわらず、全ての子どもが健やかに夢を育むことのできる社会づくり」を目指していますが、この目指す姿には家庭の経済状況等により、子供が「貧困の連鎖」に陥ることなく、夢を育むことができる環境を作っていくという意味も含まれていると理解しています。
私はこの目指す姿には大変共感しておりますが、実現していくためには、夢や希望を持つことが難しい環境に置かれた子どもたち、あるいは、最も大人の支えが必要な子どもたちにこそ、行政は真摯に向かい合っていくべきではないかと訴えてまいりました。
 昨年度、県が実施した「子供の生活に関する実態調査」結果では、多くの子どもたちが厳しい環境に置かれ、学習面や生活面において、授業がわからないと感じたり、生活習慣が身に付いていないこと、さらには、生活が困難な家庭ほど、虐待や育児放棄などのリスクが高いことを浮き彫りにしました。
 また、同じ調査では、貧困が世代を超えて連鎖していることも明らかになったところです。
 この調査結果などを踏まえ、今年度から、これまでの取り組みに加えて、家庭の経済的事情などにかかわらず、すべての子どもの能力と可能性を最大限に高められる教育を目指すための「学びのセーフティーネット」の構築や、必要な学力等を身に付けるための生活基盤づくりとして「朝ごはん推進モデル事業」などに取り組まれています。
一方で共働き家庭の割合の増加や、核家族化の進展など、ライフスタイルや家族形態の多様化も進んでいることから、今後は、どのような家庭環境にあっても確実に子どもに支援が届くような仕組みづくりを進めていくことがますます重要になってくるものと思います。
 こうした仕組みづくりとしては、「ひろしま版ネウボラ」において、その取り組みが進められることと思いますが、ネウボラから就学後につなげる仕組みづくりが今後の課題であると思います。
 また、国の動きとして、国の対策の基本的な方針などを定める「子供の貧困対策に関する大綱」が2014年夏に閣議決定されてから約4年が経過し、来年度内を目途に新たな大綱案が作成される予定です。
 そこで、子どもの最善の利益を第一に考え、すべての子どもたちが生まれ育つ環境にかかわらず、将来に向けて希望が持てるよう、貧困の連鎖防止対策も含めた「子どもの未来を応援する施策」の充実が今後、より一層重要になるものと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。


【湯崎知事答弁】
 次世代を担う子供たちが,生まれ育った環境に左右されることなく,健やかに育ち,夢や希望,意欲にあふれ,自立した人間へと成長することは,県民の皆様全ての願いであり,我々が目指すべき姿でございます。
 しかしながら,「子供の生活に関する実態調査」の結果では,生活が困難になるほど,子供たちが厳しい環境に置かれていることが改めて確認され,さらに,近年の社会情勢の変化や家族形態の多様化などを背景として,
 ・ 待機児童の発生,
 ・ 児童虐待相談件数の増加,
 ・ 不登校児童生徒の増加,
 ・ 朝食欠食率の増加等の生活習慣の悪化など
 子供たちが生まれ育つ環境によって,様々なリスクが顕在化しているものと考えております。
 このような背景を踏まえますと,今後は,どのような環境で育つ子供たちにも確実に支援を届けるため,子供たちの置かれている状況や家庭環境などを多面的な視点で漏れなく把握し,関係者で共有することがますます重要になるとともに,それが子供の未来を応援する施策の基礎になってくるものと考えております。
 そのため,現在の「ひろしま版ネウボラ」における取組を着実に進めるとともに,今後は,就学後も含めて子供の成長に携わる全ての関係者が情報を共有し,子供たちを見守り支援する仕組みについて,検討を進めてまいります。
 また,様々なリスクが顕在化する中においても,子供たちがたくましく育ち,生きていく資質・能力を身に付け,自らの可能性を最大限高めることができる環境を整える必要がございます。
 このため,今年度からは,県庁が一丸となって,子供たちの未来を応援する施策を推進するため,「子供未来応援プロジェクト・チーム」を立ち上げて,
 ・ 乳幼児期の教育・保育や家庭教育支援の充実などに取り組む「乳幼児教育支援センター」の設置や,
 ・ 先月からスタートいたしました「朝ごはん推進モデル事業」などに
 新たに取り組んでいるところでございます。
 これらの取組は,まだ緒についたばかりでございますが,今後も,国の動向や取組の成果などを踏まえ,貧困の連鎖防止対策を含めた子供の未来を応援する施策のより一層の充実を図り,我々の目指す「全ての子供たちが健やかに夢を育むことができる社会づくり」を全力で進めてまいります。




(2)「朝ごはん推進モデル事業」に対する教育委員会の果たすべき役割について

【質問】
 2点目は、「朝ごはん推進モデル事業」に対する教育委員会の果たすべき役割についてです。
 この事業は、県内すべての子どもたちに朝食を食べられる環境を整備して、確かな生活習慣を身につけてもらい、将来的には学力の向上を目指す取り組みとして、11月14日から県内で初めて廿日市市の阿品台東小学校でスタートいたしました。当日の模様は、全国放送でも広く報道され、子どもたちの笑顔で楽しそうに食事をする光景はもちろんですが、地元のボランティアの方々や校長先生をはじめとする関係者のインタビューでは、まさに「子どもファースト」で地域や学校で子どもたちを見守る強い志が表れていたことに改めて感動したところでございます。
 最新の文科省のデータを見ますと、県内の小学校6年生の朝食の欠食率が5%となっており、推計しますと、県内で7,000人以上もの子供たちが朝食を食べていないことになります。
 この欠食率は平成25年度以降、年々増加しており、平成30年度までの5年間で2%も増加しているという危機的な状況です。欠食率の上昇は、近年のライフスタイルの変化や家族形態の多様化が大きく影響しているのではないかと推測されますが、朝食を食べない理由の背景に複雑な要因が絡み合っている状況においては、これまでのような子供や保護者への教育活動や啓発活動だけでは欠食率を下げていくことは難しいのではないかと思います。
 私は、子どもたちの学力向上を下支えする環境整備として、今回のモデル事業のように学校をプラットフォームとして、福祉部門と教育部門が連携を密にして取り組みを進めるべきであると考えています。
 教職員の働き方改革が叫ばれる中だからこそ、スクールソーシャルワーカーをはじめ、地域の方との連携を図ることが結果として、実質的な教職員の負担軽減につながると思いますし、子どもの安心感も大きいのではないかと思います。
 このモデル事業は、集団登校や通学路から外れる子どもへの配慮も考えると、学校の敷地内の児童館や家庭科室などを利用するため、学校の協力が不可欠となります。
実際にそれらの利用を許可するのは各市町の教育委員会かもしれませんが、県教育委員会の役割としては、各市町の教育委員会に対して、この事業の必要性を理解してもらい、積極的に協力してもらえるような働き掛けが最も重要ではないかと思います。
 そこで、確かな学力を身に付けるためにも重要な要素となる朝食の欠食率が年々増加し続けていることについての課題認識と併せて、「朝ごはん推進モデル事業」に対する県教育委員会の果たすべき役割について、教育長のご所見をお伺いいたします。


【平川教育長答弁】
 全国学力・学習状況調査におきまして,学力と朝食の摂取との間に相関関係が認められており,朝食の欠食率が上昇していることは,学力に影響を及ぼす可能性が高く,課題であると考えております。
 このため,これまでも学校におきましては,教科等を通じて望ましい食習慣について指導を行うとともに,「ひろしま給食100万食プロジェクト」において朝食の摂取を啓発する「朝食リーフレット」を配付するなど,食育の観点から,毎日,朝ごはんを食べる習慣を定着させるための取組を進めてまいりました。
 また,今年度からスタートした朝ごはん推進モデル事業につきましては,学力等を身に付けるための生活の基盤づくりを目的としており,朝食をとる習慣を身に付けさせることにより,授業に集中できるようになれば,学力にも良い影響が期待できるのではないかと考えております。
 このため,県教育委員会といたしましては,子供未来応援プロジェクト・チームの一員として,今年度,実施体制等の整う市町教育委員会と県の健康福祉局とともに,3者が連携して,事業の推進に努めてきたところでございます。
 今後も,学校教育において児童・生徒や保護者に対し,朝食摂取の重要性を伝えるとともに,モデル事業の実施に当たっては,県教育委員会の役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えております。




(3)高等教育進学時における家庭の負担軽減について

【質問】
 3点目は、高等教育進学時における家庭の負担軽減についてです。
 今年度、県教育委員会が新設した給付型奨学金では、当初設定した100人程度の募集枠に382人もの申請が集まりました。
 県は12月補正予算案で支給要件を満たす349人に奨学金を支給するため、1億5千万円を計上しています。申請者はいずれも厳しい家計の中で多額の借入をして進学を目指している高校生であり、全国に先駆けたこの取り組みを是非推進して、国の支援制度が立ち上がった後も何らかの形でその支援を広げてほしいと願っております。
 家庭の経済力による教育格差を放置すれば、その子どもが大人になった時だけでなく次世代にも大きく影響します。ある公益財団法人の調査では、幼少期から経済的に困窮している家庭ほど、様々なことをあきらめる経験が積み重なる「あきらめの連鎖」の中で、「大人の階段」を登らなければならない状況が明らかとなっています。
 生まれ育った環境によって、夢をあきらめることのない生き方を下支えすることは、自分の選択に対して前向きになり、自己肯定感にもつながります。
 また、子ども時代の体験の積み重ねが将来の夢を描いていく上で大切ですが、県が実施した子供の生活に関する実態調査では、多くの子どもが経験しているが経済的に厳しい家庭で、なかなかできないこととして、「塾に通う」「美術館に行く」「1年に1回くらいは家族旅行に行く」というのがあります。 
 埼玉県では、困窮家庭を対象に教員OBによる学習支援を行っていますが、子どもたちの様々な体験の下支えとして、塾に通ったり、習い事など教育クーポンとして使えるようにしてもいいのではないか、そうしたことも含めて財源の柔軟な使い方の拡充を是非実現していただきたいと考えています。
 そこで、国が2020年度からの高等教育無償化の方針を掲げる中、今年度、県が新設した給付型奨学金も一定の役割を終えることになりますが、経済的に厳しい家庭への負担軽減として、高等教育進学時の支援を今後、どのように構築していこうと考えておられるのか、教育長のご所見をお伺いいたします。


【平川教育長答弁】
 低所得世帯に対する高等教育進学時における家庭の負担軽減につきましては,国において,平成32年度入学生から大学の授業料の無償化等の方針が示されております。これが実施されれば,本県が本年度創設した大学等進学奨学金制度の支援内容と重複することが予想されるため,新たな負担軽減策につきましては,国の動向等を踏まえ,その必要性を検討することとしております。
 また,大学等へ進学するためには,経済的に厳しい状況にあっても,必要な学力等を身に付けられるような取組も重要であると考えております。
 このため,高等教育進学時における支援につきましては,経済的支援に限らず,生徒の希望する進路の実現が図られるよう,幅広く対策を検討してまいりたいと考えております。




(4)低出生体重児のための母子手帳について

【質問】
 4点目は、低出生体重児のための母子手帳についてです。
 母子手帳は、妊娠初期から子どもが小学校に入学するまでの母と子の一貫した健康管理を記録する大切な手帳で、医師の記録とともに妊産婦みずから記入するのが特徴です。妊娠時に配られる母子手帳の前半は国が定めた全国一律となっていますが、後半は発行する市区町村において任意に作成することができます。
 近年減少傾向にある出生数の中で、早産などにより2500グラム未満で生まれる低出生体重児の割合は高くなっています。厚生労働省によると、2016年に生まれた低出生体重児は9万2千人で、全体の1割近くに上ります。
低出生児が誕生した場合、母子手帳に記載されている平均的な身長・体重より成長が遅れるため、親は子の成長を実感できず、不安で落ち込んでしまうケースも少なくないと聞きます。
 そして今、全国各地で母子手帳を見るたびに心を痛めるお母さん方のための取り組みが生まれ始めています。
 静岡県は小さな赤ちゃんを産んだママのための母子手帳「しずおかリトルベビーハンドブック」を今年3月に作成していますが、作成にあたっては、母親や医療機関など、関係者の意見を広くお聞きし、1500グラム未満の極低出生体重児の発育曲線を掲載するなど、きめ細かな配慮と工夫が行き届いた内容となっています。
 東京都も、母子手帳のモデル検討を行っておりますが、各ページには母親をフォローするメッセージ、例えば「我が子に言いたい。『ありがとう』は最高級のほめ言葉」などが盛り込まれた内容となっています。
出産直後の母親が一番つらいときにこのような心強い冊子を手にすることで、10人に1人がなると言われる産後うつや乳児虐待などを防ぐことにもつながると思います。
 本県でも「ひろしま版ネウボラ」の県内全域への展開を見据え、すべてのお母さんが希望をもって育児に取り組める環境整備が大切だと思います。  
そこで、切れ目のない支援のツールとしての、低出生体重児のための母子手帳の発行が強く望まれるところでありますが、知事のご所見をお伺いいたします。


【田中健康福祉局長答弁】
 母子健康手帳は市町において,発行されるものであり,妊娠期から乳幼児期までの健康診査,予防接種などの一貫した健康の記録や, 子育てに関する必要な知識が記載されており,子供の成長や家族の子育て記録として, 重要なものであると認識しております。
 本県の平成29年の低出生体重児の出生数は約2,000人で,全体の1割弱となっており, こうした子供をもつ家庭に対しましては,市町の保健師が,乳幼児健診や家庭訪問の機会に,発育曲線グラフを活用した面談をするなど, きめ細やかな支援を行っているところでございます。
 また,イクちゃんネットにおきまして,低出生体重児の子供を持つ保護者同士で気持ちを共有できるような サークルなどについて,情報発信をしているところでございます。
 県といたしましては,ひろしま版ネウボラの全県展開にあたり,低出生体重児への対応を含め, 様々な不安を抱えた家庭が,安心して妊娠・出産・子育てができるよう,他の自治体の取組も参考にしながら,子育て環境の整備に取り組んでまいります。




(5)外国人の児童生徒への支援について

【質問】
 5点目は、外国人の児童生徒への支援についてです。
 このたび、臨時国会で、2つの在留資格を新設する入管難民法の改正案が成立いたしました。今後、外国人労働者の受け入れ拡大に伴い、外国人の児童生徒も増加し、その丁寧な対応がますます必要になってきます。
 民間団体の調査では、外国人が多く住む地域の小学校では外国人の子どもが日本人の2倍以上の比率で特別支援学級に入っているという実態があります。
 日本語が出来ないため、特別支援の対象としているケースや障がいがあるかどうか見分けが難しいケースもあるとも聞きます。
日本語能力が十分でない子どもたちに対する日本語指導や学校生活への適応、各教科等の学習や進路の相談、保護者との連絡なども含め、小中学校での受入体制や教育委員会による支援体制の強化や保健福祉部門との連携も必要であると考えます。
 そこで、外国人材の受け入れ増加に伴い、外国人の児童生徒の日本語指導や学校生活への適応について、今後、どのように取り組んでいくのか、教育長のご所見をお伺いいたします。



【平川教育長答弁】
 国際化の進展に伴い,学校では,帰国児童生徒や外国人児童生徒に加え,両親のいずれかが外国籍であるなどのいわゆる外国につながる児童生徒の受入れが多くなっております。
 本県におきましても,平成26年度の調査において,公立の学校に在籍している日本語指導が必要な外国籍の児童生徒は,小学校273人,中学校87人,高等学校24人,特別支援学校2人でございましたが,本年度の調査では,小学校388人,中学校138人,高等学校22人,義務教育学校1人,特別支援学校2人となっており,全校種の合計で申しますと,4年間で386人から165人増加して551人となっております。
 これら日本語指導が必要な児童生徒は,一人一人の実態が,それぞれの言語的・文化的背景,年齢,就学形態や教育内容・方法等により様々でございます。そのため,受入れに当たりましては,一人一人の実態を的確に把握し,当該児童生徒が自信や誇りをもって学校生活において自己実現を図ることができるように配慮することが大切であると認識しております。
 このため,県教育委員会では,今年度,日本語指導のための加配教員を15人,非常勤講師を124人措置するとともに,毎年度,「外国人児童生徒等に対する日本語指導指導者養成研修」に教員を派遣し,指導者の養成にも努めているところでございます。
 さらに,各学校におきましては,実態に応じて「特別の教育課程」を編成・実施するとともに,言葉の問題や生活習慣の違いなどによる児童生徒の不適応の問題が生じる場合もあることから,教職員が当該児童生徒の言語的・文化的背景に関心を持つとともに,理解しようとする姿勢を保ち,温かい対応を図るよう努めております。
 今後も引き続き,日本語指導のための加配及び非常勤講師の措置や,教員研修の充実等を図ることにより,外国につながる児童生徒の円滑な受入れに努めてまいります。




2 社会的孤立を防ぐ取り組みの推進について

【質問】
 質問の第2は、社会的孤立を防ぐ取り組みの推進についてです。
 内閣府が2015年に行った調査によると15歳から39歳までのひきこもりの若者は推計で約54万人に及び、ひきこもりの期間は7年以上の人が約35%と長期化傾向にあります。内閣府ではこの12月に40歳以上を対象とした初の全国調査に乗り出し、来年にはその実態も明らかになる見通しであります。
 さらに高齢化も大きな課題で80代の親が50代のひきこもりの子どもと同居し、社会的孤立に至る状況は「8050問題」とよばれ、これまでの枠組みを超えた新たな支援が求められています。
 先月、NPO法人「KHJ全国ひきこもり家族会連合会」の第13回全国大会が広島市内で開催されました。
 大会では、愛知教育大学の川北准教授は社会的孤立の現状について解説され、本人と家族の情報を集めた上で関係構築のきっかけを切り開く「出会い」、切実な課題へ提案を行う「介入」、長期的な「見守り」などの役割を分担するチーム支援の必要性を述べられました。
 また孤立防止をテーマにシンポジウムが開かれましたが、地域包括支援センターや広島ひきこもり相談支援センターの担当者やひきこもり経験者の皆さんも登壇されました。
 私もともに学ばせていただく中で、ひきこもる原因はひとりひとり違うと思いますが、その行為はまさに生きるための本人の選択肢であり、一つの防衛反応であったと思っています。
 しかし、周囲に助けを求められず、孤立化していくケースも増えており、中でも急がれるのはその長期化・高齢化への対応とともに「8050問題」に象徴される切実な「親亡き後」の支援のあり方についてであります。
 生活困窮者自立支援法における制度でも、今年度より、市町のひきこもり支援関係機関の取り組みなど、ひきこもり支援の充実が図られており、県も市町等と連携し対策を進めて行くことが重要であると考えます。
 つきましては、これまでの相談、居場所、就労に加え「親亡き後」の支援も含め、あらゆる機関が連携しながら支えていく体制を強化していくべきと考えますが、今後どのようにして社会的孤立を防ぐ取り組みを進めていかれるのか、知事のご所見をお尋ねいたします。


【湯ア知事答弁】
 県民の皆様一人ひとりがそれぞれに抱いている夢や希望をあきらめることなく追求することができる社会の実現のためには,ひきこもりなどの困難な状況にある方々に対しましても,それぞれの実情に寄り添いながら,きめ細かな支援を行う必要があると考えております。
 このため,本県におきましては,ひきこもりへの対応として,県内3か所にひきこもり相談支援センターを設置し,相談を受け付けて,福祉事務所等関係機関との連携を行うとともに,居場所づくりや訪問相談の充実など,切れ目のない継続的な支援を実施しているところでございます。
 一方,家族会の皆様からは,ひきこもりは長期化しているケースが多いと伺っており,親が高齢になることで収入が減り,病気や介護が必要になるなどの課題が生じ,さらには,親亡きあとの本人の生活困窮や孤立が,更に深刻になることが危惧されております。
 このため,市町においては生活困窮者自立支援制度により,ひきこもりの当事者と家族の生活全般にわたる包括的な相談支援を実施しており,県といたしましても,ひきこもり相談支援センターとの連携をより一層強化するとともに,相談支援員の研修や就労に向けた好事例の紹介など,市町の相談支援機能の向上に努めてまいります。
 また,地域で生活していくためには,このような行政からの支援のみならず,地域社会全体の理解や支援が不可欠であることから,社会福祉協議会等と連携して地域における支え合い活動を促進し,様々な困難を抱えた場合でも社会から孤立せず,安心してその人らしい生活を送ることができる地域共生社会の実現に向けて,全力で取り組んでまいる所存でございます。




3 セクシャルハラスメントに対する認識と女性が安心して働ける環境整備について

【質問】
 質問の第3は、セクシャルハラスメントに対する認識と女性が安心して働ける環境整備についてお伺いします。
 今年のノーベル平和賞は紛争下の性暴力と闘う男女2人に授与されました。ノーベル賞委員会の委員長は「女性への虐待に目を向けることが重要」とし、性被害を告発する運動として世界に広がる「Me Too」運動とも共通するとの考えも示されました。
 国際労働機関ILOにおいても職場でのセクハラや暴力をなくすための国際基準の枠組みについて、拘束力を持つ条約を制定する方針を決めたところです。
 残念なことに今年、日本でも官僚のセクハラ問題が大きく報道され、それにまつわる様々な意識の差にも議論が沸騰いたしました。
 日本においてのセクハラ防止の動きは1999年に施行された改正男女雇用機会均等法から始まります。ちょうど今年で20年を迎えますが、この法律が改正され、2007年にはセクハラ防止が事業主に対し措置義務に強化をされました。必要な措置として、相談窓口の設置、相談者の不利益な扱いの禁止等がありますが、広島県の調査によると事業者の44.4%が対策を何もたてていない状況であります。
 厚生労働省が2015年秋に実施した調査では、女性の約28.7%、約3分の1が職場でセクハラを経験していました。うち、上司に相談したのは、10.4%、会社の窓口や担当者への相談は3.1%にとどまります。63.4%の方が「我慢し、特に何もしなかった」と泣き寝入りをしている実情が示されました。
 女性の就業率が統計開始以来、過去最高の70%を超える中、働く意欲のある女性がセクハラでやめざるを得なくなる環境はもったいないことだと思いますし、セクハラ被害に対応できるしくみが社会にはもっと必要であると考えます。
 女性社員が働きやすい職場は、誰もが働きやすい職場だと思います。また、妊娠や子育てなどライフサイクルに応じた働き方が尊重されることでもあります。今後、さらに女性管理職が増えることも、量から質に変えるという意味において大切なことです。
 日本においても重大な人権侵害となる行為を防ぐための一歩として、厚生労働省の労働政策審議会では、職場での地位を利用してのパワーハラスメントの防止に向けた取り組みを企業に義務づける方針が示されたところであります。
そこで、「女性の働きやすさ日本一」を掲げる本県が働き方改革の先頭に立ち、セクハラ対策の推進とともに、女性が安心して働ける環境の整備を進めていくことが極めて重要であると考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。


【湯崎知事答弁】
 職場におけるセクシュアルハラスメントは,働く人の個人としての尊厳を不当に傷つける社会的に許されない行為であるとともに,働く人が能力を十分発揮することの妨げにもつながるものと考えております。
 これまで,本県におきましては,女性がいわゆるセクハラにより不利益を受けたり,就業環境が害されないよう,事業主に対しましては,未然の防止対策や相談体制の整備など必要な措置について,周知・啓発するとともに,従業員に対しましては,国や県の相談窓口の情報提供等に取り組んでまいりました。
 この他,セクハラの原因として
・女性に対する意識や役割に対する誤った認識,
・男女間のコミュニケーション不足や
・企業の女性活躍への認識不足
があると考えられるため,経営者や管理職,従業員を対象とした研修等において意識啓発を行ってきたところでございます。
 しかしながら,広島労働局によりますと,平成29年度のセクハラに関する相談は224件となっていることに加えて,事業主に義務付けられている防止措置等を講じていない企業が半数近くもあることから,今後は,対策を行っていない企業に対し,個別企業訪問の機会などを通じて適切な対応を働きかける外,国や経済団体と連携し,セクハラに対する未然防止対策等を強化してまいります。
 また,女性が安心して働き続けるための環境整備につきましては,経験やスキルを蓄積し,離職することなく,その能力を十分に発揮していただくために,極めて重要であると認識しております。
 このため,本県におきましては,各企業が環境整備の重要性を認識し,自社の課題把握・解決に向けて
・長時間労働の削減や,
・休暇制度の活用促進,
・多様な働き方ができる仕組みの導入など
働き方改革の推進や女性活躍に向けた人材育成に取り組んでいただけるよう引き続き支援してまいります。
 さらに,企業の枠組みを超えて,経済団体や労働団体,国・県・市町などで構成しております「働き方改革推進・働く女性応援会議」による機運醸成,「イクボス同盟ひろしま」の活動促進,働く女性のネットワーク構築など,関係団体,企業等が一丸となって取組を実施する外,保育環境の整備や男性の育児・家事参画の推進により,女性はもとより,誰もが安心して働ける職場環境づくりにより一層,取り組んでまいりたいと考えております。




4 難病対策について
(1)難病医療の提供体制の充実について


【質問】
 最後の質問は、難病対策について2点お伺いいたします。
 1点目は難病医療の提供体制の充実についてです。
 難病とは、医学的に明確に定義された病気の名称でなく、治療が難しく、慢性の経過をたどる疾病を総称して言います。難病には4つの条件が必要とされています。発病のしくみが明らかでない。治療方法が確立していない。希少な疾患で、長期の療養が必要なことです。
 難病に対する医療援助は、平成26年に「難病法」が制定され、医療費助成に消費税の税収を充てること、基本方針の策定、調査・研究の推進等が明記をされました。
 また、法成立前には、56だった指定難病の数ですが、その後順次拡大をされ、現在では331疾病が指定されています。厚生労働省の調べでは、それ以外にも、希少疾患やまだ病名のないものも含め、5千から7千の難病があると言われています。
 全国で指定難病の承認件数は94万件、本県でも平成29年度で20,685件にのぼっていますが、難病の多様性・希少性により、患者はもとより、医療従事者であってもどの医療機関を受診、紹介すれば正しい診断が受けられるのかが、分かりづらい状況となっているとも聞きます。
 そこで、今後も難病の対象となる疾病が拡充される見込みの中、難病患者にとって、より身近な医療機関で適切な医療が受けることができるよう本県の難病医療の提供体制の充実に向け、今後どのように取り組んでいかれるのか、知事のご所見をお伺いをいたします。


【湯崎知事答弁】
 難病はかかる人は少ないものの,だれでも発症する可能性があり,長期にわたり医療が必要となるため,身近な医療機関で適切な医療を受けることができる体制の整備が必要であると認識しております。
 特に神経難病につきましては,日常生活に障害を伴い,医療的サポートが必要なことから,診療の拠点となる病院を県内3か所,2次医療圏域ごとに協力病院を19か所指定をいたしまして,医療提供体制の確保を図ってきたところでございます。
 また,神経難病以外の分野におきましても,確定診断までに時間を要する場合が多いことから,早期に正しい診断を行い,適切な治療につなげるための医療連携体制の構築が必要と考えております。
 そのため,先月開催いたしました広島県難病対策推進協議会において,全ての難病に対応する難病診療連携拠点病院について検討し,その指定に向け準備に入ったところであり,今後,疾病分野ごとの診療拠点病院,2次医療圏域ごとの協力病院についても検討を進めてまいりたいと考えております。
 この取組を着実に進めるとともに,患者及び家族の方々への情報提供を積極的に行い,地域で安心して適切な医療を受けることができる体制の整備を推進してまいりたいと考えております。




(2)難病患者の生活支援について

【質問】
 次に難病患者の生活支援についてお伺いいたします。
 ひとたび難病にかかるとその療養が長期に及ぶことから生活上の大きな不安を抱えておられます。
 また、難病は患者数が少なく、多様であることから周囲の他の人から理解が得にくく、就学、就職やその継続が困難になるといわれます。
 多くの難病は完治することのない慢性疾患であり、生涯にわたって治療が必要ですが、医学の進歩などにより、現在では職業生活と疾患管理の両立を図りながら、継続的な就労が可能となっています。
 私は、今年10月に開催された難病団体の催しに参加をして、皆さんから、難病に戸惑いながら病気に向き合う気持ちなど様々な声をお聞きしてまいりました。
 障害者総合支援法に難病も対象となりましたが、対象疾病も限定され、難病患者が福祉サービスを利用しにくい現状があるようです。難病患者のニーズにそった福祉サービスの充実も急がれます。
 国は平成28年に「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を作成し、難病患者などの治療と職業生活の両立支援を行うための環境整備や個別支援の進め方などを示しています。
 難病を持つ人が働く上で、通院や疾患管理についての本人の取り組みを中心に職場として協力することや、病気について正しく理解することの必要性が指摘されています。また、障がい者手帳を持っていない場合、本人も職場に対して言い出しにくいこともあり、より周囲の配慮も必要となっています。
 本県では平成16年に広島大学病院に難病対策センターを開設し、相談・支援と就労支援などに取り組んでいます。
また、難病団体に委託して、難病患者や家族からの電話相談や面談にあたるピアサポート事業も実施していますが、難病患者やその家族がさまざま不安を抱えている中で、患者同士のサポートは大きな力になると思います。難病対策センターはワンストップとしての機能を発揮し、状況に応じて患者会などにつなぐことが求められています。最も困難を強いられる難病患者の社会参加を支援し、難病にかかっても地域で尊厳を持って生きられる共生社会の実現を目指すことは、すべての人の安心にもつながります。
 そこで、難病患者の地域生活を支援するため、学業・就労と治療を両立できる環境を整備していくことが必要と考えますが、今後どのように取り組まれるのか、知事のご所見をお伺いいたします。


【田中健康福祉局長答弁】
 医療の進歩に伴い,現在では,難病にかかっていても,服薬や通院をしながら学業や就労を続けることが可能であることから,難病患者の社会参加を進める上で,学業及び就労と治療の両立支援は重要な課題であると認識しております。
 本県におきましては,難病対策センターに相談員を配置し,日常生活等の相談・支援,生活情報の提供を行うとともに,就労に関する相談にも対応するほか,ハローワークの難病患者就職サポーターによる出張相談を月2回行っているところでございます。
 引き続き,難病対策センターにおいてハローワーク等と連携しながら,患者ニーズの把握や支援に努めるほか,新たに企業に対して難病患者の雇用管理に関する研修を行い,難病への理解を進めるとともに,学業との両立につきましては,教育機関などと連携を強化してまいりたいと考えております。
 今後とも,これら関係機関と連携を図りながら,必要な相談・援助,情報提供などを行うことにより,難病対策センターがワンストップサービスの窓口としての機能を果たし,難病患者が学業及び就労と治療を両立できるような環境の整備に向けて取り組んでまいります。




(3)災害時の難病患者への対応について(要望)

【質問】
 7月豪雨災害では、発災当初から被災された難病患者に対して情報が届きにくく、難病患者が駆けつけた病院では混乱を招いたこともあったとお伺いしています。
 また「難病患者・長期療養疾病患者災害支援手帳」やヘルプマークは災害時に有効なツールですが、いまだ必要とする人の手元に届いていない状況もあるようです。
 災害時における難病患者への迅速な支援とともにヘルプマークが有効に活用されるよう周知について、引き続きの取り組みもお願いしたいと思います。




【おわりに】
 以上で私の質問は終わりますが、制度と制度のはざまにある人たちに、光をあてていくことが政治の大きな役割であるとの認識で、この15年間活動をさせていただきました。
 様々な方のお声をお伺いする中で、まだまだ、そのはざまにある方々の声が届いていない現状も実感しています。
 少しずつでも、その生きづらさを抱える方々に寄り添いながら、現状を変えていきたいと思っています。
ご清聴まことにありがとうございました。